【2~3面】 ************************************************** # 特集 和歌祭 風流(ふりゅう)の大祭 ************************************************** 紀州東照宮108段の階段を大神輿が駆け降りる「神輿おろし」。 薙刀振(なぎなたふり)、摺鉦(すりがね)・太鼓(たいこ)、雑賀踊(さいかおどり)、相撲(すもう)、面被(めんかぶり)、母衣(ほろ)、唐船(とうぶね)など、様々な衣装に身を包んだ「株」(芸技集団)が連なる「渡御行列(とぎょぎょうれつ)」。 和歌山市を代表する行事の一つ、和歌祭が今年400年目を迎えます――。 5月15日(日曜日)に開催する四百年式年大祭では、和歌浦を飛び出し、和歌山城周辺で渡御行列が披露されます。また、渡御行列の前には、大名行列の一部が再現され、松平健氏演じる徳川吉宗公が40人の大名を率います。 和歌祭は、元和(げんな)8年(1622年)に紀州東照宮の祭礼として始まりました。 明治中期以降は日本三大祭りと称され、和歌浦に大勢の観衆が押し寄せました。 しかし、昭和に入り戦時体制が強まる中、昭和12年(1937年)を最後に10年間の中断。その後、昭和23年(1948年)からは和歌山城周辺で「商工まつり」のパレードの一部として開催されましたが、昭和59年(1983年)を最後に開催が途絶えました。 それから16年後の平成12年(2000年)、地元の有志が和歌祭保存会青年部を発足。 そして現在は、和歌浦で本来の姿に近い形で開催されています。 地元の人が繋いできた和歌祭。今回は、和歌祭保存会青年部の立ち上げメンバーの1人・保井元吾さんに話を伺います。 -------------------------------------------------- # インタビュー -------------------------------------------------- 和歌祭実行委員会 顧問 保井 元吾さん 平成12年、和歌祭保存会の青年部結成メンバーの1人。 その後、和歌祭実行委員会委員長を10年間勤めた。 この祭を未来に残したい 和歌祭には株組織というものがあって、芸能部門の各集団を「株」と呼びます。株には長老がいて、ピラミッド状に弟子や後継者がいますが、平成12年ごろは長老の高齢化が進み、株組織が崩壊しつつありました。 技術的な部分を含めてこの祭りを後継者に残すために、今自分たちが長老に話を聞いて習得した技術や歴史を後継者に伝えていくしかないと考え、有志を集って青年部を結成し、それぞれの株に弟子入りしました。 「風流(ふりゅう)の大祭」として 戦後、和歌祭は商工まつりの一部として、渡御行列が和歌浦から和歌山城へ向かう形で開催された時期がありました。 ただ、その形態ではイベントやパレードの要素が重要視されて、「風流(ふりゅう)の大祭」と称される本来の神事ありきの和歌祭ではなくなっていました。 私たちはこの「風流(ふりゅう)」という言葉を大切にしています。 元和8年に徳川頼宣が和歌祭を創始した際「民衆と一緒にできる祭り」を大切にしたとされています。そのため、和歌祭は官(紀州藩)の公式祭でありながら、民衆の祭りでもありました。祭りの日は無礼講で、民衆が華やかな衣装を身にまとい、芸能部門を作り上げる。これが「風流」であり、私たちが非常に大事にしていることです。 風流まつりということで、現在これだけの種目が残っており、一堂に見られるのは和歌祭のみです。 この創始の時の形を変えずにずっとやっていきたい。パレードの一部じゃなくて、神事ありきの「風流の大祭」と呼ばれた本来の和歌祭をやりたい。 この風流を今後途絶えることなく続けていくために、本当の意味での後継者を育てていきたいと考えています。 地元の人にとっての和歌祭 華やかなんですよね、この祭りって。 長老に聞いた話だと、華やかな衣装を着たり、子供が着物を重ね着したりパッチワークのように衣装をアレンジしたり、自分の個性をどれだけ出せるか競っていたそうです。そういうのって生きがいになるじゃないですか。 祭りが近づくとウキウキと気持ちが高揚する。和歌浦に一体感が出てくる。祭りってそういうことだと思います。 多くの人に知ってもらう 今回の四百年式年大祭は、本来の和歌祭とは違うルートで行います。 今回は和歌山城まで行くことで、たくさんの人に「こんな祭りがあるんだ」と知ってもらい、次の年からは和歌浦で本当の和歌祭を見に来るきっかけとなってほしいと思っています。 -------------------------------------------------- # 和歌祭 四百年式年大祭 -------------------------------------------------- 5月15日(日曜日) 和歌浦~和歌山城周辺で開催 詳細は和歌祭四百年式年大祭特設ページでご確認ください。 (URL:http://wakamatsuri.com/400th) タイムスケジュール 【和歌浦周辺】 8時~ 神輿おろし(紀州東照宮) 8時30分~ 神輿出立式(紀州東照宮会館前) 神輿わたり(紀州東照宮~和歌山城) 【和歌山城周辺】 12時~ 渡御始め式(フォルテワジマ前) 12時15分~ 渡御行列(フォルテワジマ前~市役所前) 14時30分~ 渡御納め式(和歌山城 西の丸広場) 松平健氏も参加! 交通規制のおしらせ(本町通り・けやき大通り) 当日は、車両通行止めの交通規制を行います。 【1】本町通り(本町3丁目~公園前交差点) 11時~14時20分 【2】けやき大通り(西汀丁交差点~三木町交差点) 12時~14時50分 ※イベント内容や交通状況等により規制区間や時間帯が変更になる場合があります。 (1)本町通り 本町3丁目~公園前交差点 11時~14時20分 (2)けやき大通り 西汀丁交差点~三木町交差点 12時~14時50分