【2面・3面】 ************************************************** # 11月は「和歌山市人権啓発推進月間」です ************************************************** -------------------------------------------------- # 同和問題(部落差別) -------------------------------------------------- 同和問題(部落差別)は、日本社会の歴史的過程で形づくられた身分差別により、今なお国民の一部の人々が同和地区、被差別部落などと呼ばれる地区出身や、そこに住んでいることを理由に差別を受けることがある、我が国固有の人権問題です。 同和問題(部落差別)は、これまでの取り組みによって少しずつ解消に向けて進んでいるものの、結婚に際しての身元調査として戸籍等が不正取得されたり、不動産売買や転居の際の同和地区に対する忌避意識が一部にあります。また、SNS上での差別的な書き込みや地域を特定するような情報を流すなど、部落差別の解消を妨げる行為が依然として続いています。さらに、最近では、同和問題(部落差別)を知らないという人や、聞いたことがあるだけという人が増えてきています。 同和問題(部落差別)は、そういった問題とは無関係だと感じている人の前にも、ある日突然訪れます。私たち一人ひとりが同和問題(部落差別)に対する正しい知識と理解を深め、自分自身の問題としてしっかり受け止める準備をしておくことが重要です。 -------------------------------------------------- # 女性の人権 -------------------------------------------------- 我が国では男女共同参画社会を実現するため、「男女共同参画社会基本法」・「男女雇用機会均等法」・「女性活躍推進法」など法律の整備が進められてきました。 女性の人権をめぐる問題として、今なお社会には男女差別、配偶者・パートナーからの暴力、性犯罪、ストーカー行為、セクシャルハラスメントや妊娠・出産等を理由とする不利益な取扱い(マタニティ・ハラスメント)などがあり、男女平等とは言えないのが現状です。 また、男女共同参画社会の実現を妨げている要因として、固定的な性別役割分担意識や、就労上の男女格差、男性中心の政策決定などがあげられます。それにより、依然として賃金、雇用形態などに男女の格差が残り、女性の就労や生き方の自己決定を阻んでいます。 性別により差別されたり、役割を強制されることなく、すべての個人が互いに尊重される社会にするためには、女性の活躍を推進していくだけではなく、これまで男性中心につくられてきた社会構造を見直す必要があります。ジェンダーの問題を誰もが我が事として認識し、解決に向け取り組むことが重要です。 -------------------------------------------------- # こどもの人権 -------------------------------------------------- こどもは一人の人間として最大限に尊重され、守られなければならない存在です。こどもは身体的及び精神的に未熟な存在であるがゆえに、法律上の保護を含めて、特別にこれを守り、世話することが必要であり、こどもを権利の主体として尊重することが重要です。しかしながら、社会においてはいじめや体罰、保護者からの虐待、貧困、SNS上の匿名性を悪用した誹謗中傷など、こどもの健全な成長や安全が脅かされています。 このような中、こどもの権利を守る法律「こども基本法」が令和5年4月1日に施行されました。「こども基本法」には、「自分に直接関係することに意見を言えたり、社会の様々な活動に参加できること」や「こどもの意見が尊重され、こどもの今とこれからにとって最もよいことが優先して考えられること」などがうたわれています。 こどもが普段何気なくつぶやいた言葉や、表情から真意をくみとることも意見を聞くことになります。毎日の生活の中で、こどもの意見を見逃さず、尊重していくのは、まわりの大人の仕事です。 -------------------------------------------------- # 高齢者の人権 -------------------------------------------------- 高齢者人口の増加に伴い、2000年に高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして介護保険制度がスタートしました。2006年には、高齢者の尊厳保持の重要性から「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」が施行されるなど、施策が進められています。 しかし、家族構成や高齢者のコミュニティのあり方が変容するにつれて、家族や地域との関わりが少なく、社会的に孤立して生きがいを喪失することが起きています。そればかりか、養護者からの身体的・心理的な虐待、介護放棄、本人の意に反して財産を処分される経済的虐待、さらには、振り込め詐欺や悪徳商法など、高齢者が被害にあう問題なども増えてきています。 誰もが住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、地域住民が互いに理解し合い、共に支え合う社会の実現が必要です。地域ぐるみで人権意識の向上を図ることはもとより、認知症に関する知識や権利擁護の推進など、高齢者への理解を深めるとともに、生き生きと暮らしていくための環境づくりが求められています。 -------------------------------------------------- # 障害のある人の人権 -------------------------------------------------- 障害のある人もない人も互いに尊重し、支え合い、分け隔てなく共に生きる社会をつくることは、私たちが取り組むべき課題です。 これまで障害のない人に合わせた社会がつくられてきました。障害のある人は、社会的バリア(障壁)のため日常生活で不便さを感じ、社会参加において困難に直面するなど、安心で生き生きとした生活を妨げられてきました。 2011年には「障害者基本法」の改正が行われ、あらゆる分野において、分け隔てられることなく他者と共生することができる社会の実現が新たに規定されました。また、2016年には「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行され、障害のある人への不当な差別的取扱いの禁止、障害のある人からの配慮を求める意思表示に対する合理的配慮を行うことなどが明記されるなど、共に生きる社会の実現や社会的なバリアを取り除くための法整備が進められています。 差別や不平等を生み出す社会的バリアを取り除くことは社会の責務であります。私たち一人ひとりがそれを理解し、具体的な行動に移すことが大切です。 -------------------------------------------------- # インターネットと人権 -------------------------------------------------- 2025年4月1日に施行された「情報流通プラットフォーム対処法」(通称:情プラ法)は、SNS上の誹謗中傷や権利侵害情報に対処するため、大規模プラットフォーム事業者に対し、迅速な対応、運用状況の透明化に係る措置を義務づけた法律です。 大規模プラットフォーム事業者には、現在YouTube、Yahoo!知恵袋、LINEオープンチャット、LINE VOOM、Facebook、TikTok、X(旧ツイッター)などのサービスを提供する事業者が総務省から指定されています。事業者は、誹謗中傷や権利侵害の申し出を受けた場合、7日以内に対応を判断し、その結果を通知することになっています。また、年に一度その運用状況を公表することを求められています。さらに、違法情報の削除促進も含まれており、名誉棄損やプライバシー侵害、違法薬物や闇バイトの募集などが削除対象として総務省より例示されました。 この法律の目的は、被害者の救済を迅速化し、SNS上の健全な情報流通を促進することです。 この法律により、SNS上での誹謗中傷被害が減少し、より安全で信頼できる情報が提供されると期待されています。