「村瀬憲夫が選ぶ素敵な和歌」受賞作品
平成25年11月16日、17日に六義園内で実施した『六義園を解く 和歌の浦クイズ&スタンプラリー』では、同時に「和歌の浦」をテーマ(お題)に和歌(短歌)を募集しました。2日間で合計68名、82作品の応募の中から、近畿大学名誉教授の村瀬憲夫氏が選ぶ「素敵な10作品」が決まりました。
- 和歌の浦 白き浜べに 鳴く千鳥 よせる波にも 歌がきこえる
東京都杉並区 赤木 瑛梨様 - 亡き夫と たずねし紀の川 秋の陽の 穏しき川面を 想う六義園に
東京都西東京市 古谷 昭代様 - 子の声に 振り返りみれば プリズムの 湖面にきらり 和歌の浦みゆ
東京都文京区 古徳 とも代様 - もみじばに しばしいこえる 介護の手 明日よりはげまん 和歌の浦
東京都品川区 カタギリ ユミコ様 - 光さす もみぢの赤さに うばわれて われの心にも 赤き光さす
東京都新宿区 深沢 澄子様 - 浅き海に 青鷺立ちて 二羽三羽 汐満ち来るを 待ちいるごとし
東京都小金井市 布村 典子様 - 萌えいづる 若葉眩しい 六義園 葉陰の奥で 赤人が待つ
東京都北区 中里 秀雄様 - 庭園よ いやしてくれて ありがとう 明日から仕事 がんばります!
埼玉県川口市 中村 文子様 - 小春日の あまねき光 浦に充ち 水面にはぜの 朱ゆるるかな
埼玉県川越市 笠原 春子様 - 和歌山に 秋風ふくよ 秋の日に 自分の目でも たしかめたいよ
東京都新宿区 松本 開様
(注)応募順に掲載
村瀬憲夫教授の講評
皆さまそれぞれに思いを込めて歌ってくださいまして、感銘深く読ませていただきました。六義園の庭園の風景に接して、日々の現実の生活、あるいはかつての思い出などを踏まえて歌っていらっしゃいまして、六義園と、万葉の和歌の浦と、そして現在の和歌浦が、風景とそれを見る人々の心を通して、しっかりとつながっていることが実感できましてうれしく思いました。また7歳から13歳までの若い皆さんの応募が7名もありまして、とても頼もしいことでした。こうした良き庭園、良き歌、美しい風景が、未来に継承されていくことを願ってやみません。
村瀬憲夫(むらせのりお)氏プロフィール
1946(昭和21)年愛知県出身。
名古屋大学大学院文学研究科修士課程修了。
近畿大学名誉教授、文学博士。専攻は日本文学(万葉集)。
学生時代から万葉集が好きで、楽しみ、学び、そして研究を続けている。
主な著書に 『万葉 和歌の浦―若の浦に潮満ちて―』
『萬葉集編纂の研究-作者未詳歌巻の論-』
『万葉びとのまなざし-万葉歌に景観をよむ-』等。
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